Feb 4, 2008

インドでのマーケティング活動としてのCSR―トヨタ

トヨタが最近、生産車台数が世界1を到達したというニュースが出ていたし、様々な側面でトヨタのプレゼンスは世界的に大きなものがある。アメリカのfortune誌の世界に影響を与えるリーダー25の一人に日本から唯一渡辺社長が選ばれていた。ちなみに1位はスティーブ・ジョッブス。

そのトヨタはプリウスの成功などで環境フレンドリーなよい企業市民というイメージを植えつけつつも、デトロイト州の排ガス規制に反対したりと確立したいイメージと行動が一致していないと指摘されてたりする。しかし、米国人には燃費の悪いピックアップは人気があるわけでGMやフォードも反対してたりする中での反対は、マーケティング活動そのものへの反対でもあり、日系企業が世界1を嫌った黄禍論として排斥する動きの一つかもしれない。

CSRといえばマイケル・ポーターがクラマーと一緒に戦略的CSRと提唱したように企業の戦略と社会の貢献が融合してなくてはならないことになっている。そういえばフォード社の創設者のヘンリー・フォードは、生産コストを大量生産によって下げ、従業員の給料を5ドルに上げ、大衆向けの車を従業員にも買えるようにした。これなど売上の拡大という意味もだし、まだ庶民の手から遠かった自動車を普及させる意味での理念としても合致していると思われる。

日本では高度経済成長期は、若い労働者を獲得すべく、中学卒業したての若者を工場労働者に囲い込んでいた。このような囲いこみを、グローバリゼーションのすすんだ昨今では、途上国で展開している。トヨタがインドで学校を作る目的は、インドにおいて若くて優秀な労働者を獲得するためでもあり、地域社会でトヨタの学校の認知度を高め、ブランド効果も高める狙いがあるようだ。これで必ずしも売上にすぐ直接結び付くわけでもないし、いずれにしても先の長い話になるが、人材育成・確保とCSRによるブランド効果と一石二鳥を狙っている。タイなどでも日本の自動車企業、企業主催による就学している学生の間でダンス発表会を開催している。学生に歌を作らせるのだが、その歌詞に必ず企業を持ち上げるようなフレーズを入れなくてはならないという多少エグイことをやりながらブランド浸透させている。しかし、この大会はタイ全土の子供たちに人気を博している様だ。しかも、このマーケティングを仕掛けているのは広告代理店ではなく、大手商社である。GHQが日本の子供を手なずけたような方法で途上国の子供たちを手なずけようとしている動きが日本のグローバル企業にも見られる。

企業が自社の戦力を育てる職業訓練校は日本にも存在しているしタイなどはすでに相当稼動している。研磨など精巧な技術をもつ技能工は若い頃からの訓練が欠かせないからだ。現地生産が当たり前のトヨタにはインドを次の市場の開拓戦力の視野の元に、インドの子供に教育を与えるCSR活動も入っているのだろう。

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