途上国や貧国にチャリティを施してもいいことはなくて、 彼らが市場を発展させるつまり資本主義を整備して、徹底させることのほうが、発展には寄与するのだという主張。ウォールストリートジャーナルの記事らしくて分かり易い。
以前にも、ハーバードのバロー教授による同じような趣旨の記事を見た。ビル・ゲイツは、チャリティやっているよりMSに居た方が、社会価値を産むと、ロバート・バローというハーバードの経済学者が述べていた。以下抄訳。
マイクロソフト社の時価総額は2870億ドル、2006年は売上440億ドルで、利益が130億ドル。これらのお金は消費者に価値を提供してる。ウインドウズソフトの生み出した社会的価値は、少なくとも毎年440億ドル相当と見られる。これを22年分かけ、市場価値は、9700億ドルとなる。このように、将来価値としては数兆ドルの価値をゲイツ氏は生み出すことになる。これは、彼自身で運営するチャリティ財団の資産規模(900億ドル)の10倍にも相当する。
単純にアフリカなどの途上国の貧困を救済するにしても直接ドナーするだけでは解決にならない。世界銀行がどういった援助を行うべきかかなり苦戦しているではないか。貧困を減らしたもっとも優れた例は、1979年の毛沢東政権以降の中国の経済成長で、1979-2000年の間に貧困層を2億5千万減らし、2つ目の例としてはインドの成長で、1979-2000の間に1億4千万人減らした。
一方、低経済成長の西アフリカは逆に1979-2000の間に、貧困層を2億人も増やしている。
これらの例が示すのは、アフリカを中国やインドのように経済成長させることが貧困脱出につながるのだ。その一つの例が、政府統治機関の発展にあり、市場と資本の開放に鍵がある。アフリカの失策は政府にある。実は、外国からの援助はアフリカの悲劇を避けるのになんの役にもたっていないのである。
というのは、外国からの援助は政府を通して行われるが、巨大だが腐敗しており、市場の動きに無頓着である。こんなところにただ金をばらまくだけで貧困が防げるわけがない。ゲイツ氏の財団は、これまでのよりもほんの少し効率的に援助を行うだろうが、効果のほどは疑わしい。
投資家のウォーレン・バフェット氏は、懸命にもチャリティ活動に精を出していないが、社会的価値創造の観点からそちらのほうがよい。彼の投資活動は、企業の経営判断によい影響を及ぼし、余程社会的価値を生み出すからだ。
ゲイツ氏が何をしようと彼の自由であるが、マイクロソフトの将来価値と同等の価値をチャリティ活動からもたらすことができると考えているなら、お笑いではないか。それだったらいっそのこと、ゲイツ援助として、アメリカ国民一人300ドルずつ配ったほうがましだろう。
ビル・ゲイツが引き続き猛烈な勢いで、ソフトを開発し続けることが前提になっているので、しかも後22年間も働くというので、MSで引き続き仕事したほうが、チャリティ基金の4兆円の10倍を、世の中に生み出すという計算にはならないだろうけど。フリードマンの企業に唯一社会貢献する方法は利益を上げることだに忠実なわけだ。
しかし現在のCSRはエコノミストのCSR特集で述べられたように
>>この種の企業はCSRに集中特化することで、古くからの大企業のCSRを副次的に扱うやり方に対してアドバンテージを持つ。自分の金を使い、計測できる結果も望む人たちだ。「やりがいがある」だけでなく「本当によい」ものを求めている。リスクに貪欲に、しかも金銭的なシビアで、社会的投資へのリターン指標を大企業に教えることになるだろう。
つまり、CSRは単にトリビアではない。6月にマイクロソフトのフルタイム職を去り華麗なまでに資金潤沢なチャリティ財団に移るビル・ゲイツに負うところがある。彼は2009年までに年間30億ドルを寄付するという。ここまでの寄付は誰も行ったものはいない。この資金を例えばアブソリュートリターンフォーロンドンキッズは、イノベーティブなチャリティを通じ、提供者の資金を途上国で起業する人たちへ投資してる。
とリターンにシビアな資本主義の論理が働いているので単なるばら撒きではない。
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