How to stop downturn by Joseph E. Stiglitz
NYタイムズ論説欄
アメリカの経済は、大きな停滞を迎えようとしている。不況になる(半期のマイナス成長)かどうかが問題なのではなく経済が潜在力を下回り失業率が上昇することが問題だ。経済刺激策が必要だが、すでに抱えている財政赤字をいたずらに増やすのではなく、1ドルも無駄にせずに行ないたい。適度な処方箋は数ある中でも即座に支出に結びつくもので、経済の急激な落下を食い止めなくてはならない。
失業保険制度の強化から始めるべきだ。なぜなら失業者は受け取ったお金をすぐに使うからだ。
政府は土地の価値が下落しすでにピンチを感じている州や地方政府を支援するべきだ。特に地方は支出を切り下げることで対応しておりこれは不安定要素になる。政府は主要なインフラの建て直し支援という形で行なうべきだ。
政府による教育予算の支援は、エネルギー節約や排気量の削減と同様、経済を短期的にも強化し、長期的な成長ももたらすだろう。これらのよく考えられた支出プログラムは効果が出るまで時間がかかるように見えるが、今回の停滞は、かつての停滞より回復までに時間がかかるように見える。住宅価格はまだまだ下げ始めたばかりで、正常化するまで長くかかるだろうし、もし国民が今までより貯蓄を増やせば、消費はしばらく停滞したままだろう。
ブッシュ政権は今までずっと減税(特に富裕層へ)をどのような問題の解決策にもしてきた。これは間違いである。減税は一般的にアメリカ経済に現れたように過剰な消費をもたらす。しかし、中低所得者は過去7年間苦しんできた―現在の家計収入の中央値は2000年よりも低下している。中低所得者へ税金還付すべきだし、しかも即効性が高い。
破産についても手を打つべきだ。法整備を進め野獣的な金貸しの犠牲になった人たちに、住宅を手放さないようできるならば経済刺激となるだろう。しかし、これにだけ支出をかけてもいけない。やりすぎは投資家への過剰な支援になり、彼らへの納税者の支援は必要ない。
2001年に、ブッシュ政権は不況を口実に高額所得者の減税を行なった。お陰で彼らはここ25年かなり恩恵を受けた。減税は経済刺激ではなく彼らの為に行なわれた。経済を流動化の為FEDはかつてないほど利下げを強要されていたが、これが無謀な貸し出しを生んだ。これで米国経済は借りた金と時間で動くようになったのだ。
同じような日が再びやってきそうである。しかし今回は刺激策が本当に経済を刺激するようにしなくてはならない。問題は、大統領や議会が党派を越えてこの問題に取組むかどうかである。
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